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ライ麦畑で踊るメスウサギの夢 -クロスカンパニー 石川康晴社長 インタビュー記事-

中目黒店 青柳です。

僕は現在32歳なのですが、30歳を超えたぐらいから、良く考えるようになった事があります。
それは

「日本に於ける女性の社会進出と貢献度、雇用や企業との関係性」

についてです。
日本には独自の伝統文化や企業精神があり、
グローバル化社会と言う言葉や概念は正直あまり好きでは無いのですが、
この点において日本は、先進国(と、呼ばれる他国)に遅れを取っている事は、
残念ながら間違いの無い事実であると感じます。

そんな中、先日たまたま目にしたこのインタビュー記事に共感を覚えましたので、
今回ご紹介したいと思います。




全員正社員!
女子95%で成長する秘訣
クロスカンパニー
石川社長が語る女性活用


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「アースミュージック&エコロジー」。
女優・宮崎あおいさんが異国で出会った人と、流暢な現地語でクールなやり取りを繰り広げる――。
印象的なテレビCMに見覚えがある人も少なくないだろう。
これを展開するレディスアパレルが、クロスカンパニーだ。
基幹ブランド「アースミュージック&エコロジー」を中心に現在、国内で500店舗以上を展開し、今年度(2014年1月期)に売上高1000億円の大台を達成する見込みである。
実はクロスカンパニーは、創業時から「全員正社員」を掲げ、その95%が女性、しかも平均年齢25歳と“女子”が活躍する企業でもある。
日本で初めて「4時間正社員」制度を導入するなど、積極的に働く女性の支援を行っている。
女子力を活かす経営とは、そして今後の成長戦略は?石川康晴社長に聞いた。

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人は「調整弁」じゃない

――クロスカンパニーはなぜ「全員正社員」を掲げているのでしょうか。

僕は3年間大手紳士服チェーンで下積みをしたあと、23歳で小さなセレクトショップを開いて独立しました。
身の丈をコンセプトにたった4坪の小さなテナントを借りて、1人で買い付けから接客までやっていましたが、2年目には事業が軌道に乗り始め、社員を雇う必要が出てきました。
当時、僕もまだ若造だったから、いろんな経営者のところへ

「これから中長期的に大事な経営哲学や鉄則はないですか?」

と、学びにいきました。
その時、大先輩の経営者の10人中10人が言ったのが、

「人は調整弁だ。いつでも切れるようにしておけ」

「特に小売業は上がり下がりが激しいから、固定費なんて抱えていたらすぐに会社はつぶれるぞ」


という教えです。
それを聞いて、僕は

「そんな考えを持つ経営者しかいないから、日本の小売業界というのはグローバルにならないし、シュリンクしていくんだ」

と思ったんです。
僕が決心したのは

「正社員という概念を倒産する瞬間まで貫いていこう」

という逆の考え。
人に経営資源を向け、人に投資をしていこうと。

だからクロスカンパニーは創業2年目で初めて社員を雇って以来、
全員を正社員で雇用して、気がつけば今期連結売上高1000億円まできました。
約20年間、正社員という基盤を整えたことで、社員が安定して働いてくれたおかげだと思います。

――4時間や6時間の時短勤務制度を導入したのはなぜでしょうか。

最大のきっかけは、社員番号2番の女性社員(石川社長が1番)が結婚を機にやめてしまったことですね。
彼女は創業メンバーで、いまでも彼女を超えるマネージメント能力がある人はいないぐらい優秀でしたが、

「8時間労働の中で強い権限、意思決定を背負う仕事を両立できる自信がない」

と言われ、引き止めることができませんでした。

その時、僕たちに制度がなくて社員に保証ができなかったために、彼女のノウハウが社内に蓄積できなかったわけです。
クロスカンパニーは95%が女性社員です。しかも平均年齢は25歳とまだ若い。
今後、彼女たちが結婚してママになっても会社に残ってもらうためにはどうしたらいいかと思いました。
それから同じような境遇の社員を、3人ほど会議室に呼んでヒアリングをしました。

「どういう仕組みがあると仕事を辞めずに頑張れるか、今やっていけない背景には何があるのか」

と聞いたら、

「お姑さんが、『女は家で味噌汁を作って待っているもんだ。旦那より遅く帰るとは何事だ』と言う」

なんて話が出てくるんですよ。

それを覆すのはなかなかできない。

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教科書どおりの制度ではダメ

だったら6時間勤務で朝9時に出勤して16時に帰れば、お姑さんが言うリクエスト、
すなわち16時半にはスーパーに行って、17時半から味噌汁を炊いて、
旦那さんが18時に帰ってくるのを待ち構えられるんじゃないのかと。
そしたら

「そんなことができたら、頑張れます」

という返事をもらった。
それで2011年8月からまず「6時間正社員」の制度を導入しました。

一番のポイントは、教科書に書いてある制度を持ってきたのではなくて、
社員の声を繰り返し聞き続けたということです。
各企業には様々な文化があるので、まずは内部に存在する不満を持っている社員を、
何度も何度もインタビューするところから制度設計は始まります。
これをしないかぎり、企業文化にマッチしない使用率の悪い制度になってしまいます。

――成長の過程で女性活用が必要だったわけですね。

いわゆる労働力確保の面でも経営戦略上必要でした。
例えばイオンモールとかららぽーとが大型商業施設を開発しても、
ただでさえ若者がいない上に、モールの中で人材獲得競争になって、
その地域で完全に雇いきれない状態になります。
私たちも実は中央で採用した人を「Uターンキャリア」で1年間だけ郊外に派遣して、
なんとか大量出店の成長戦略を続けていましたが、とにかく苦労していました。

ところが、まず岡山県だけで4、6時間勤務の営業員募集を実験的にやってみたら、
8時間の正社員募集を圧倒的に上回る3倍の履歴書が届きました。
潜在的なニーズが強いと実証できたものですから、すぐに全国に求人募集を拡大すると、
約4カ月で1000人を超える応募が来たのです。

全員が同じことを言います。

「やりがいのある仕事をやりたかった」

と。

だけど、これまで彼女たちが活躍する労働市場がなかった。
そこに「4時間正社員」という安定感と、ある程度の権限がある充足感、
「安定」と「責任」の二つが目の前に降って湧いてきたら当然飛びついてきます。
みんなすごくはつらつと頑張ってくれている、というのが現状です。

短時間勤務制度の利用者は現在165人。
郊外型ショッピングセンター(SC)の店舗を中心に、2~3店に1店の割合で4時間か6時間正社員が入っています。
これを将来的には1店舗に2人入れて、1000人くらいを雇いたいと考えています。

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短時間勤務でも生産性に問題なし

――現場に負担はありませんか。

これはやってみてから気が付いたのですが、逆に4時間正社員は1時間当たりの労働生産性が高いんです。
彼女たちはローカル要員として配置していますので、保育園や幼稚園のママ友を連れてきてくれます。
地域の行事の話ができたりもするので、顧客1人当たりの単価やリピート率がとにかく高く出ています。

もう1つ面白い事例は、「グリーンパークス」というブランドで意図的にほぼ女性だけの事業部を作ってみました。
ターゲットはアラサー(30歳前後)のヤングママ、部署も顧客と同じにしようと30代女性を集めてみました。

女性目線のブランド構築が当たり、このブランドは20%成長を続けて、通期売上高は今期220億円ぐらいになる見込みです。
営業利益率は15%とすでに基幹ブランドの「アースミュージック&エコロジー」を超える数字を叩き出しています。
現在はグリーンパークスの出店が一番多いですから、この2~3年でアースに並ぶブランドに成長するでしょう。

私たちはCSR(企業の社会的責任)という視点ではなくて、会社の利益になるから女性支援をしているということをいちばん言いたい。
女性活用が企業の成長に必要だということを理解してやっているワケです。

――男性側の理解はどう進めたらよいでしょう?

11月からは男性社員向けの育児休暇制度も新たに導入します。
ただ、普通の制度ではなくて、クロスカンパニー流の「強制イクメン休暇」(仮称)です。
子どもがいる家庭において男性は月に1日公休をプラスするので、強制で取得してパートナーのために家事・育児を手伝わなければならないというものです。

当然、奥さんに

「会社が作った制度はあなたが楽になるために作った制度だから、旦那さんをお迎えや買い物に行かせるのに使ってください」

とコミットメントさせる。
奥さんのサインをもらって、会社の目的を通達します。
娯楽に使われたら困りますので(笑)。
男性にも強制するというのがミソで、女性の育休に抵抗をなくすのが狙いです。
日本の事例になっていくのではないかと期待しています。

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女性活用は「国よし、家族よし、企業よし」

――今後の成長のためにも女性活用は必要?

これ何回、取材で言ってもカットされちゃうんですけど、女性活用は

「国よし、家族よし、企業よし」

の三方よしなんですよ(笑)。
国は所得税が増えて税収があがる、家庭も可処分が増えて豊かになる、企業も労働力を確保できるうえ生産性が高まります。

日本は少子化で市場もシュリンクして、優秀な人材を世界から調達しないといけない中で、
欧米並みの女性活用の基準がない限り、人事面でもガラパゴス化していきます。
日本は女性の中間管理職比率はわずか11%、欧米は30%を超えている。
日本では男性がマーケティングや組織戦略を意思決定しますが、そこにガバナンスが効いていません。

日本企業がグローバル化に苦戦しているのも、女性活用の遅れが一つの要因なのは間違いありません。
海外に打って出て行くためにも女性支援は不可欠です。
女性の活用が会社に利益をもたらすことを、誰よりもトップが理解して制度化していかなければならないと思います。

(中略)

柳井さんほど高い目標は掲げませんが、最終的には「ZARA」や「H&M」など現在のグローバルSPAと同じくらいの売上高1兆5000億円、純利益1000億円が目標です。
M&Aもまだ模索しています。

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株式公開の可能性は「否定しない」

――資金調達手段として、株式上場という選択肢はありませんか。

五分五分ですね。IPO(新規株式公開)の可能性も否定はしません。
これまでは実質無借金のビジネスモデルでなんとかやってきました。
ただ、これからは年間100店舗の出店を続けながら、グローバルで事業展開していかないといけません。
そのためには人材と資金調達の両面で必要になってきます。

大型調達が必要であれば、近年中にIPOの可能性もあると思います。
まあ、この1~2年で、その判断をしなければならないと思います。
監査法人も5~6年前から入れているので粛々とどちらにも転べるように準備はしています。

撮影:尾形 文繁

引用元URL - 東洋経済ONLINE
http://toyokeizai.net/articles/-/19373

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石川 康晴

株式会社クロスカンパニー代表取締役社長。
1994年クロスカンパニーを創業。
1999年に「earth music&ecology」を立ち上げた。
内閣府男女共同参画局推進連携会議議員。
国立岡山大学経済学部卒業。

1970年 岡山県岡山市で生まれる
1994年 23歳で故郷の岡山県にクロスカンパニーを創業、レディスセレクトショップ「CROSS FEMME」オープン
1995年 有限会社クロスカンパニー設立
1999年 主力ブランド「earth music&ecology」事業開始
2002年 株式会社クロスカンパニーへ組織変更
2004年 香港へ同社ブランドを展開
2007年 岡山県知事より「岡山県男女共同参画社会づくり表彰」事業者部門受賞
2008年 台湾現地法人設立
2010年 オカヤマアワード創設[1]
2011年 中国現地法人設立
2012年 企業家ネットワーク主宰の「年間優秀企業家賞」において、第14回チャレンジャー賞を受賞[2]。

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株式会社クロスカンパニー
http://www.crosscompany.co.jp/


株式会社クロスカンパニー紹介TV動画



・・・うーむ、(実情は分かりませんが)企業が提唱するパブリックスタンスとして、
非常に素晴らしいと思います。

実際、僕が従事する飲食業においても女性スタッフ、
特に主婦は非常に優秀なスタッフが多いのが実情です。

また、飲食店においてはランチタイムが非常に重要な時間帯である為、
彼女たちの希望勤務時間の需要(子供の送り迎えに関わる為9時頃~15時頃)というものは、
まさに飲食ゴールデンタイムであり、こちら側のニーズとマッチする最適な人財と言えます。

彼女たち(特に子供のいる女性)の仕事に対する姿勢として、僕が個人的に感じる事は



●女性(主婦)スタッフの優れている点●

・タイムスケジュール管理が非常に優れている
(育児経験などから、時間に対する管理意識が高いのだと思います)

・仕事に対する責任感が強い
(ある種放棄する事の出来ない、家庭という共同体での経験からきているのだと思います)

・顧客との距離感や要求に対する事前察知能力に秀でている
(家族とのコミュニケーション、周囲の連帯との経験から来るものだと思います)

・クレンリネスに対する意識が非常に高い
(やはり家庭において、模範となる行動を遂行している事が要因としてあると思います)

・限られた時間の中でやりがいを求めている
(家庭と仕事の両立の中で、可能な限り濃密な時間を過ごしたいと考えている方が多いのではと推測します)

です。

そう考えれば、アルバイトやパートでは無く、4時間~6時間の正社員として、
彼女たちを採用し、その能力を最大限に活かす環境を提供する事が、
少子高齢化する日本の今後の経済成長を促進する為に、
日本企業に求められている姿なのではないかと思います。

逆に考えれば学生やフリーター、独身の社会人などはディナータイムで活躍してくれますし、
土日のみ勤務希望の学生やフリーター、社会人も数多く存在しています。

それらを専業8時間の正社員ではなく、4時間~6時間の正社員として雇用するという事は、
縮小化する日本経済に、新たな突破口を見出す革新的なアイデアであると思います。

いずれにしても、日本の企業と埋もれている人財をマッチングする媒体は寡占状態が続いており、
新たな切り口でその溝を埋めるようなビジネスは、今後可能性が大きいと感じます。



女性が活躍する社会、

女性が活躍する企業、

女性が活躍する現場。

つまり女性が活躍する、

日本という国家。




いやー、素晴らしい響きじゃないですか。



まさに楽園ですね。



それではまた来月。

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門前仲町の夕焼け
by mitsuyado | 2013-09-20 00:00 | aoyagi