2012年 08月 13日
【東京亭】ラーメン天下二分の計【来来亭】
厳しい残暑が続きますねー。
こう暑いと、ついビールが進んでしまい、ほとほと困っています。
最近厚揚げを、わさび醤油で頂くのにハマっています。
これを目を閉じて食べると、かんぱちのお刺身の味がします。
(酔っぱらっている時限定)
実は最近、衝撃を受けたラーメン業態があります。
先日たまたま出かけた東京郊外ロードサイドのラーメン店なのですが、
そこが凄かったんです。
そのラーメン店とは・・・
「東京亭(とんきんてい)」!!!
公式HP
http://www.nankintei.com/
このお店、昭和56年に1号店を開店してから西東京を中心に店舗展開を進め、
現在「南京亭(なんきんてい)」というブランドを主力に10店舗を展開する企業のようです。
僕が訪れたのはあきる野店で、確か平日の20時ぐらいだったのですが、
驚く事に60席以上ある店内は満席で、且つ行列が14名でした(!)。
客層はファミリーと男性が中心で、年齢層は40代~の方が多い印象を受けました。
このお店、メニュー数がとにかく豊富で(多すぎて選択に迷いましたが)、
ラーメンというより中華業態に近いのですが、
多店舗展開していながらセントラルキッチンを持たず、
餃子まで全て店舗手仕込みで作っているそうです。
(食べた感じ、スープは恐らく店舗炊きではなさそうですが…)
もう一つ驚いたのが、そのスタッフ数の多さ。
僕が訪れた時は何とキッチン7名(!)、ホール3名の10名体制でした。
僕はカウンターに座りキッチンを見ていたのですが(職業病)、
中華鍋から炎が噴き出し、餃子焼き器からお湯が溢れ、職人さん達が怒号を飛ばす戦場でした・・・。
それが効率的か非効率かという所は別として、見ている側としては単純にそのビジュアルが食欲をそそり、面白いなーと感じました。
僕が頼んだのはミニラーメンとミニチャーハンセット680円+ジャンボ餃子200円(2個入り)。
何というか、想像通りの味でした。
このお店は24時間営業しているそうなので、
あのピークの感じが毎日続いているのであれば、
恐らく月間800万~、下手すれば1000万以上売り上げているのではないかと思いました。
本題。
何故僕がこのお店に衝撃を受けたのかと言うと、
以前から感じていた事が、目の前に現実として現れた事に対してです。
僕はラーメンを食べ歩くのが好きで、関東のラーメン店はわりと知っているほうだと思っていたのですが、
雑誌に取り上げられる事も無く、名前も知らないお店が、こんなに繁盛している事に驚きを覚えました。
実は地方には、こういった格安中華ラーメン業態の繁盛店が、多数存在します。
有名どころだと、来来亭、くるまやラーメン、ハチバンラーメンあたりでしょうか。
来来亭
http://www.rairaitei.co.jp/
くるまやラーメン
http://www.kurumayaramen.co.jp/
八番ラーメン
http://www.hachiban.co.jp/
また、再建をかけて奮闘する株式会社ホッコク、「どさん子ラーメン」はその代表格と言えるかもしれません。
株式会社ホッコク
http://www.hokkoku.net/
…前置きが長くなりましたが、結局何が言いたいのかと言うと、
ラーメンビジネスは二極化している
という事です。
…僕が思うに、上記のラーメン業態は、東京23区内の激戦区では、ビジネスとして成り立たないでしょう。
なぜならば、東京のラーメンは味のレベルが非常に高く、居心地や値段よりも、質を求める傾向が強いからです。
…逆に、サイドメニューもご飯も無い東京の有名個人店が地方に進出した場合、それもビジネスとしては成り立たないでしょう。
なぜならば、地方は味そのものよりも、居心地やサービス、豊富な商品構成、リーズナブルな価格を求める傾向が強いからです。
つまり、東京中心部と地方では、ニーズが全く異なるのです。
以前、くら寿司のネタでブログを書いたのですが、その時に書いた事がフラッシュバックしました。
ロードサイドの王座を狙え。(Japanese Amusement Sushi Innovation)
http://mitsuyado.exblog.jp/17621319/
東京の感覚で地方へ攻めれば、痛い目に遭います。
地方の感覚で東京へ攻めれば、必ず失敗します。
日本の感覚で海外へ攻めれば、騙されます。
僕も仙台の田舎出身なのでよく分かるのですが、
地方の、特にロードサイドでは、車ありきの生活が前提なので、客層はほぼ固定化します。
例えば東京で成り立つカフェ業態が、地方ロードサイドで苦戦を強いられるのは、ここが大きいと思います。
音楽に例えると分かりやすいのですが、ラーメンに関しても、東京はある意味アンダーグラウンドな、インディーズ要素を好む傾向にあると思います。
逆に地方は、オーバーグラウンドで普遍的な、メジャー要素を好む傾向が強いと思います。
人の好みはそれぞれなので、一概にどちらが良いのかという所は言えないのですが、
「儲けるためのビジネス」に限った場合、それは音楽でもラーメンでも間違いなく後者の方が、
(母体が大きい分)有利で儲かるという事になると思います。
先程少し触れた来来亭というラーメン店は、テレビなどの露出もあって有名な話ですが、
一般社員で年収480万、店長職で年収680万、暖簾分け店のオーナーになれば1000万オーバーの年収という、驚愕のラーメン店です。
ちなみに来来亭の豆田敏典社長はフェラーリやベントレーなどのスーパーカーを10台以上所有し、(公表している)年収は4億2千万だそうです・・・。
(※ネットでのインタビュー記事を探したのですが、見つかりませんでした。。)
何故来来亭はこんなに儲かるのか、ちょっと考えてみました。
そのキーワードは、「原価管理と売価設定、暖簾分け制度」にあると感じました。
地方ロードサイドのラーメン店でこの売価設定(特に定食系)、強気ですねー。
1日限定30食、インパクト大の葱ラーメン880円
豊富なメニュー、普通の味(来来亭は普通がウリだそうです)、低原価商品による高利益。
いやー、やりますねー。
ちなみに来来亭の暖簾分け制度、ちょっと面白い方式を採用しています。
http://www.rairaitei.co.jp/recruit/karada/karada_02.html
その条件が
■直営店で社員として3年以上、2年以上店長として勤務し、本部審査がOK(人間性)であれば、そのお店を買い取ることができる
■銀行からの融資は本部が連帯保証人
(開業資金を持っていなくてもOK)
■頑張れば、年商1億円のお店のオーナー
(1店舗の平均オーナー年収約1000万)
そして暖簾分け時の条件が
>店舗売却価格を当社のメインバンクから借り入れていただきます。店舗の過去1年間の収支から平均1ヵ月あたりの税引き前利益を算出し、その15ヵ月分に、物件取得時の保証金額をプラスした価格になります。
うーん・・・、こう聞くとざっくり計算でもけっこうな金額というか、個人で独立開業するのと大して変わらない金額がかかりそうですが・・・。
しかし来来亭暖簾分け最大の特徴は、ロイヤリティがゼロ(!)という事。
本部側としては、開店後売上の落ち着いた店舗を、開店当時に投資した費用で社員に売却できる。
また、直営店の店長経験者が管理する事により、質の高いブランドが維持できる。
暖簾分け希望の社員としては、ある程度安定した収支が見込める店舗をそのまま買い取る事が出来る。
また、利益率が高い業態システムなので、通常のラーメン店では考えられないような高収入が見込める。
これは双方にとってメリットのある、非常に面白いシステムだと思います。
ロイヤリティ無しだと本部に利益が出ないのではないか?
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、
そこは食材、備品、制服や産廃業者、その他店舗運営に関連する諸々の部分に仕掛けを作る事により、
本部利益を生む事が可能だと思います。
(来来亭がそうしているかどうかは分かりませんが)
うーむ、単なるラーメン屋とはいえ、そのビジネスは複雑化して奥が深いですねー。
長々と書いてしまいましたが、結局のところ何が言いたいのかと言うと、
「地方ロードサイドで爆発する要素を満たしたつけ麺業態はまだゼロ」
と言う事です。
この現状に、大きな可能性を感じますねー。
その為には、何よりスピード感を持って行動する事が必要と感じます。
今月の一冊
ラーメン屋成功論 ― 100の法則より1つの制度 / 豆田 敏典
http://www.amazon.co.jp/%E3%83%A9%E3%83%BC%E3%83%A1%E3%83%B3%E5%B1%8B%E6%88%90%E5%8A%9F%E8%AB%96%E2%80%95100%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87%E3%82%88%E3%82%8A1%E3%81%A4%E3%81%AE%E5%88%B6%E5%BA%A6-%E8%B1%86%E7%94%B0-%E6%95%8F%E5%85%B8/dp/4903822869/ref=sr_1_1?s=books&ie=UTF8&qid=1344912573&sr=1-1
10年で年商100億円企業となった来来亭、豆田 敏典社長の経営論が詰め込まれた1冊。
これを読む程に、来来亭は「社員の人間力」を最大限に発揮する環境づくりに注力している事が分かります。
経済的なメリットを還元するシステム作りによって、それぞれが高いモチベーションを維持しながら、来来亭と言うブランドを経営。
一過性のブームではなく、高い売上を維持し続けるFCブランドモデルとしての、来来亭の考え方を知る事が出来ます。
ではまた来月。