独身三十路ながら最近「きゃりーぱみゅぱみゅ」が気になる、中目黒店の青柳です。

実はきゃりーぱみゅぱみゅ以外に、最近気になってリサーチしている業界があります。

ここ2~3ヶ月ぐらいの調査の集大成ブログなので、今回も相当長いです。



きっかけは確か、中目黒店のカリスマ主婦アルバイト、Yさんがぼそっと呟いていたこの言葉。

「私もホントはラーメンとか大好きなんだけど、子供が出来ても行けるラーメン屋って全然無いんだよねー」

…これはビジネスチャンスに繋がる発言だ。

そう思った僕は、こう聞き返しました。

「じゃー、子供が出来てもよく行くお店ってどーゆートコっすかねー?」

するとこんな言葉が返ってきました。

「子供が出来て外食に行くとしたら、間違い無く○○○○だねー。そこさえ連れて行けば、旦那も子供もおじーちゃんもおばーちゃんもみんな喜ぶもん」





問題:○○○○は四文字の店名です。考えてみてください。後半に答えが出てきます。





想像してみて下さい、そんな夢のような飲食店があるんでしょうか?



実は、あるんです。



それはズバリ・・・、










「回転寿司」!!!

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回転寿司とは・・・

---各種の寿司を載せた小皿を客席沿いに設置されたチェーンコンベア上に連続して循環させ、客は寿司を皿ごと自由に取り上げる、半セルフサービス型の安価な寿司店の形態。



○回転寿司の歴史○

発祥は大阪の立ち喰い寿司店経営者・白石義明が、ビール製造のベルトコンベアをヒントに、多数の客の注文を低コストで効率的にさばくことを目的として「コンベヤ旋廻食事台」を考案し、
1958年、大阪府布施市(現・東大阪市)の近鉄布施駅北口に最初の回転寿司店である「元禄寿司」(元禄産業株式会社)を開いたのが始まり。

西日本で店舗展開していた元禄寿司に対して、宮城県の企業(現在のジー・テイスト「平禄寿司」)が東日本での元禄寿司の営業権契約を獲得し、
一号店の誕生から10年後の1968年、仙台市に元禄寿司のフランチャイズ店が開店した。

元禄産業によると、これが「東日本で初めての回転寿司店」だという。
(つまり回転寿司発祥の地はよく間違われることが多い仙台では無く、大阪なのです。実は僕も仙台が発祥だと思っていました)

寿司を回転させるコンベアは、ほぼ100%が石川県で製造されており、金沢市の石野製作所(販売は北日本カコー)が約60%、白山市横江町の日本クレセントが約40%のシェアである。
(金沢は回転寿司のレベルが高い事で知られていますが、こんな背景があったんですねー)

日本国内では、「かっぱ寿司」(カッパ・クリエイト)、「スシロー」(あきんどスシロー)、「無添くら寿司」(くらコーポレーション)の100円均一店大手3チェーンが上位で競っている。



回転寿司チェーン店
日本国内店舗数ランキング

(2010年11月30日現在。カッコ内は本社所在地。少し古いデータですみません)


1 かっぱ寿司 (埼玉県)377店舗

2 スシロー (大阪府) 292店舗

3 無添くら寿司 (大阪府) 262店舗



4 元気寿司、すしおんど (栃木県) 149店舗

5 はま寿司 (東京都) 95店舗

6 平禄寿司 (宮城県) 92店舗

7 マリンポリス、しーじゃっく (岡山県) 92店舗

8 がってん寿司 (埼玉県) 82店舗

9 アトムボーイ、にぎりの徳兵衛 (愛知県) 73店舗

10 銚子丸 (千葉県) 73店舗



○海外 回転寿司事情○

1990年代末に、イギリスのロンドンで回転寿司に人気が集まった。人気に拍車をかけたのは「Yo! Sushi」というチェーン店で、1997年にソーホーで開業し、その後、イギリス国内に次々と開店、1999年にパディントン駅構内のプラットホーム上に回転寿司屋を出店したことで注目を浴びた。

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パディントン駅構内の「Yo! Sushi」

現在、ロンドン市内のハーヴェイ・ニコルズやセルフリッジなどの高級デパート内、さらにヒースロー国際空港内など20ヶ所以上の店舗を展開し、さらにフランスや中東のドバイにも進出したほか、2006年にも新店舗を開くと発表、アメリカ合衆国進出を狙っているとする指摘も少なくない。
また、オーストラリアでは「スシトレイン」がチェーン展開している。

台湾でも、現地企業の争鮮(SUSHI EXPRESS)が、台湾および中国本土において回転寿司チェーンを展開している。韓国でも、回転寿司店が見られる。

日本のチェーンも、元気寿司がハワイやアジアに数十店舗を展開するほか、マリンポリスがアメリカ本土に「SUSHI LAND」の店名で十店舗以上を出店している。



○ビジネスとしての回転寿司○

元々ファミリーレストランなどの外食産業の原価率は平均して30%程度であることと比較して、一般的な回転寿司店での原価率は50%程度と高い事が特徴である。

外食産業総合調査研究センターの資料によると、2009年の外食産業全体の市場規模は約24兆円、「食堂・レストラン」の約8兆8千億円がダントツでトップ。
その他は、「そば・うどん店」、「喫茶店」、「居酒屋」が約1兆円で横並び。
「すし店」は、約1兆3千億円という規模だ。

2010年8月20日付の日経MJによると、回転寿司の09年度の市場規模は約4698億円。
(いちよし経済研究所調べ)
04年度比約1.5倍というから、飽和状態の外食産業にあって、まだまだ伸びしろの大きい市場といえるだろう。

その中で激しく覇権争いをしているのが、「すし御三家」だ。
「かっぱ寿司」のカッパ・クリエイト、「スシロー」のあきんどスシロー、「無添くら寿司」のくらコーポレーション。
3社は1皿100円を切る価格戦略をいち早く導入し、規模を活かしつつ、あらゆる手段で経営効率を高めてきた。
3社の市場シェアは5割近い。

また、御三家以外の追い上げも激しい。
特に近頃台風の目として注目を集めているのは、すき家のゼンショーが展開する「はま寿司」。
ゼンショーが持つ圧倒的な購買力を活かせれば、御三家に食い込んでくる可能性は高いと言われている。

2011年1月14日。その血みどろの争いを象徴するようなニュースが報道された。
産経zakzakの記事

『回転寿司で下克上!スシローかっぱ抜く。「安さ」より「素材」』

を見てみよう。



かっぱ寿司、首位陥落である。



「かっぱ寿司」はトップ死守を賭け、平日1皿90円のキャンペーンを展開。
CMでは宇宙人まで食べに来たものの、2010年下半期(7~12月)の売上高は後発の「スシロー」が前年同期比20%増の462億円と、かっぱ寿司の同9%増455億円に対しついに僅差で追い越した。

さらに業界内の競争は激化しており、3位の「くら寿司」を展開するくらコーポレーション(大阪)は10年10月期決算で最高益を記録。
「銚子丸」なども業績が好調だ、と業界内の順位は今後もめまぐるしく変わる可能性が指摘されている。

zakzakの記事はこう締めくくられている。

『下克上といえば、人気アイドルグループ「AKB48」が有名。メンバー同士が激しく競い合い、昨年実施された人気投票で、大島優子(22)がそれまでトップだった前田敦子(19)を破り、話題になった。回転ずし業界もまさにAKB状態で、同業者同士が日々激しくしのぎを削っている』



デジャブ感。



そう。昨年からずっと話題になっていた牛丼戦争のようではないか。
この先牛丼業界のように優勝劣敗が進んでいくとすれば、それでは、回転ずし業界で、どの企業が勝ち残っていくのか。
何がカギをにぎるのだろうか。



○回転寿司業界の今後について○

スシローがカッパ寿司を抜いた要因を、zakzakの記事は、

『勝因は「素材の良さ」というから、回転ずしでは安さよりもネタのほうが重視されるようだ』

と、分析している。

確かにネット上ではスシローのネタのよさに対する賞賛が散見される。
昨年中ごろから、回転すし業界に限らず、外食産業全般で、

「価格競争は行きつくところまで行った。後は質をどう高めていけるかの勝負になる」

という論調が目立つ。
一方で、「すき家」が「吉野家」を圧倒したことも記憶に新しい。
もはや、価格は安いまま、顧客の期待値を遥かに超える質の高いものを提供する、「スーパーバリュー」競争の時代に入ったのだろう。
となると、絶対的で継続的なKSF(Key Success Factor:成功のカギ)とは何か。

独立起業するとすれば、最も参入障壁が低い業界の1つが飲食業だ。
材料を仕入れ、調理し、客に提供するというバリューチェーンのシンプルさがその理由である。
バリューチェーンは日本語に訳せば「価値連鎖」。
ビジネスのしくみのどこでどれだけコストをかけ、付加価値を創出するかということを表している。

「安さ」より「素材」とはいえ、回転ずしの価格帯で寿司を提供しようとするなら、ある程度の安さは必須要素だ。
そこでモノをいうのは「規模」である。
原価に占める固定費率は販売数量が多くなればなるほど低減できる。

これを「規模の経済」という。

飲食業における固定費とは、家賃・減価償却費・支払利息・リース料・本部費・固定契約料・研究開発費・設備費・広告宣伝費など。
原価、人件費、水道光熱費などの変動費に関しては、規模が大きくなれば、単位時間あたりの生産性を向上させることで、人件費率は低減できる。
原価は大量購買による価格交渉力の向上で低減を図ることになる。

回転寿司業界はなぜ、下克上が起こりやすいのか。

それは、「仕入れ」→「調理」→「接客」という飲食業のバリューチェーン上で、差別化要素が少ないからだ。
「接客」という俗人要素を極限まで削減したサービス。
調理は「にぎり」といっても、シャリは「寿司ロボット」が握る場合が多い。
調理という製品の加工度を高めるプロセスや、接客というサービスで付加価値を付けるプロセスが削減されているから、どうしても「仕入れ」の段階に依存する比率が高くなるのである。



○回転寿司戦争を生き抜くための戦略○

競争戦略は、大きく分けて3つある。1つはコストを武器に戦うこと。
 
これを「コストリーダーシップ戦略」という。

もう1つが差別化要素で戦うこと。

これを「差別化戦略」という。

もしくは、特定市場に集中して戦うこと。

これを「集中戦略」という。

この戦いは、「回転寿司」という特定市場の中での戦いだ。
そして、そこは差別化困難な市場だ。
コストリーダーをめぐる戦いは「水の中で息を止め合う勝負」のようなものだ。

勝負のポイントは、原価率を抑えること。

そのためには前述の通り、「規模」がモノをいう。
どこも規模化してトップを取り、価格交渉力を握ることを狙う。

その一方で、利益率を抑えて原価率を高めるガマン比べをするのである。
しかし、ガマンにはおのずと限界がある。
ガマンは絶対的で継続的なKSFたり得ない。
ガマン比べをすれば、牛丼業界の二の舞だ。

一つの活路は「グローバル」にあると思う。
日本国内で血みどろの戦いを繰り返せば、疲弊し、グローバルに戦う余裕を失う。

むしろM&Aなどで国内での競争に一定のケリをつけた上で、キャッシュを潤沢に生み、それをグローバル展開の原資としていく戦略も当然考えるべきだろう。
世界中ヘルシー食ブームで、日本食の海外での需要は高い。
日本人の食の象徴でもある寿司で、海外勢に後れをとっては悔しすぎるではないか。

いずれにせよ、回転すし業界は、“生”のビジネスを学ぶにはもってこいの教材だ。

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参考文献:WIKIPEDIA、東洋経済ONLINE、フードスタジアム、日経ビジネスオンライン、日経マーケティングジャーナル、産経zakzak、回転寿司の経営学





…現代の回転寿司を説明するとすれば、こんな所だと思います(長くてスミマセン)。

現代回転寿司の特徴を自分流にものすごくシンプルに言えば



・かっぱ寿司、スシロー、くら寿司が日本の3トップ

・回転寿司は原価率が平均45~50%

・オートメーション化で人件費は15~25%程度が平均

・海外では10年以上前に一大ブームが起きたが、現在ブームは沈静化している

・設備の初期投資の敷居が高く、特に格安寿司は市場規模(スケールメリット)がモノを言うので、個人での参入は非常に難しい



こんな感じだと思います、ふー。

話は戻りますが、では何故中目黒店のカリスマ主婦アルバイト、Yさん一家はそのお店に行くのか?

その答えは、飲食業界全体が気になるターゲティング戦略に対する、ファイナルアンサーだと思います。



解答:前半の問題の答え



…ファミリー層を思いのままに取り込む、夢のような飲食店があるらしい。

その答えを待つ僕は、眠い目をこすり、いつものようにチャーシューを仕込みながら、

ドキドキしているのに何故か冷静を装い、固唾を飲んでその言葉に耳を傾けていた。

そしてカリスマ主婦アルバイト、Yさんはあっさりこう言った。




















「なんかねー、くら寿司ってアミューズメントパークみたいで楽しいんだよねー」





















くら寿司・・・。















ふーん・・・。






























ソレダヨ━(゚∀゚)━ッ!!!

























・・・というわけで行ってきました。



「くら寿司 つつじヶ丘店」
(訪問時間:土曜日の17時頃)

そーいえば僕は、かっぱ寿司やスシローは行ったことがあったんですが、くら寿司は初体験でした。

くら寿司 公式HP
http://www.kura-corpo.co.jp/index.php

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外観。キングオブロードサイドといった感じ。

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くら寿司の特徴の一つ、「携帯予約システム」。
事前に携帯で混雑状況を確認し、そのまま予約する事が出来ます。
超便利。

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お店に入った時には、既にこんな状況になっていました。

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店内はテーブル席メインで196席(それでこの待ち人数、凄い!)

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くら寿司の特徴の一つ、「鮮度くん」。

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ネタを乾燥や雑菌から守ります。

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寿司以外にこんなメニューも。

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こんなものまで。あー、ビールが飲みたいと思ったら…

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何とドリンクはアルコールまでセルフサービス。
オートメーション化による人件費削減、徹底してます。

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タッチパネルで注文すると、素敵な彼が届けてくれます。

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タッチパネルの上に謎のガチャガチャ。

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食べ終わった皿を五枚入れると・・・
(これも人件費削減に繋がってますねー)

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ルーレット回転!!!

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はずれぽよ・・・

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くやしいからもう五枚食べてチャレンジ!

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当たったぽよ―!!!

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大葉まいかストラップGET。いえーい。

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帰る時には何とこんな状況に(192席の店で168組待ち、凄すぎる・・・)。

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株式会社くらコーポレーション 田中邦彦代表取締役 Foodictインタビュー記事
http://www.foodict.com/interview.php?num=3



くら寿司レポは、以上です。

いやー、正直凄すぎます。

格安系回転寿司の特徴である

「ファミリー層中心、客単価1,000円前後、滞在時間は1時間以上」

という回転率の悪さをカバーする、大型店舗とテーブル席、そして携帯事前予約システム。

45~50%近い原価率でも利益を出すために注文から調理、商品提供、下げもの、
皿に内蔵したICチップで一定時間ごとに行う廃棄まで、
オペレーションを極力オートメーション化して人件費を抑えるシステム。

注文時のサムライロボットが運んでくれるレーンや、皿5枚ごとにルーレットで景品が当たるアミューズメント要素で、子供の心をわし掴み。

更に徹底した「無添加」、「原産地表記」、「食の安全」を前面に押し出すことで、
特に震災以降ナーバスになっている、健康を気遣う消費者に対するアピールもぬかりなし。

セグメンテーション(市場細分化)とターゲティング(標的市場)を明確化し、
市場ニーズに沿った経営戦略で急成長する飲食企業に、完全ノックアウトされました。

前回僕は



「飲食業とは、ホスピタリティである」



という結論に至りましたが、
くら寿司ではこの方程式は、あてはまらないことに気づきました。
しかし、満足度は非常に高い。

それはどうしてでしょうか?

つまりそれは、カリスマ主婦Yさんの言葉、そして僕の意見をまとめると



「家庭や子供を持つ人間にとって、

家族で外食する事自体が楽しみの一つ。

求めているのはコストパフォーマンス、

そして家族でゆっくり食事できる環境と、

年配の方や子供に安全な食べ物。

+ワクワクするようなアミューズメント感」




これに尽きるのだと思います。

これはファミリー層からのプロップスのシェアを獲得しきれていない、ラーメン業界の命題かもしれません。

うーむ、飲食ビジネスってホント深いですねー。

そして僕はラーメン業界に、未だ無限の可能性を感じます。

いやー、ラーメンってホント楽しい。





今月の一冊

「回転寿司の経営学」 − 米川 伸生

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AMAZON
http://www.amazon.co.jp/回転寿司の経営学-米川-伸生/dp/4492502254

今回の記事を書くにあたって、かなりの知識をここで学ばせて頂きました。

「皆さんが目指すのは優秀な寿司職人ではなく、優秀な回転寿司職人です」

という言葉に痺れました。

飲食ビジネスを志すのであれば、必読の一冊。



ではまた来月。
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by mitsuyado | 2012-03-27 23:59 | aoyagi | Trackback | Comments(0)